みなさんは「点字」を目にしたことがありますか?
駅やエレベーターのボタン、公共施設の案内板など、私たちの身近な場所にも実はたくさんあります。
11月1日は「点字の日」。この日は、点字を通してコミュニケーションの大切さや点字の役割を改めて考えるきっかけとなる日です。
今回は、点字の仕組みや歴史、使われている場所、そして少しの知識で世界が広がる点字の魅力を、やさしく紹介します🌿
点字の日ってどんな日?
11月1日は「点字の日」。これは1890年に東京盲唖学校(現在の筑波大学附属視覚特別支援学校)の教員らが日本語の点字体系を考案・発表したことを記念して制定された日です。
点字は、視覚に障害のある方にとって大切な情報手段であり、この日を通して多くの人に点字への理解と関心を深めてもらうことを目的としています。
日本ではこの日を中心に、図書館や公共施設などで点字に関する展示やワークショップが行われることも多く、実際に「触れる文字」に触れてみる機会が増えます。こうした取り組みをきっかけに、点字への関心が広がることが期待されています。
点字ってそもそもなに?
点字とは、視覚に障害のある方が「読む」ために使う凸凹のある文字の体系です。通常の文字を「目」で読むのに対し、点字は「指先」で触って読むのが特徴。文字や記号の代わりに、盛り上がった点の組み合わせで表現されています。
一見するとただの小さな点の並びに見えますが、そこにはしっかりとしたルールが存在します。日本語はもちろん、アルファベットや数字、記号も表現できるため、情報を伝える手段としてとても優れています。
実際に触ってみると、ゆっくりとしたスピードでも「読む」感覚がしっかりと伝わり、文字を指でたどる不思議な感覚を体験できます。
6つの点でできる点字の基本
点字は「六点(ろくてん)」と呼ばれ、「縦3列 × 横2列」の6つの点で構成されています。それぞれの点には1〜6までの番号が振られており、点の組み合わせでひらがな・カタカナ・アルファベット・数字などを表現します。
例えば、1と4の点が浮き出ていれば「あ」、1と2と4なら「さ」といった具合です。このシンプルな仕組みが、世界中の点字の基礎になっています。
ルールを覚えれば、少しずつ自分でも読んだり打ったりすることが可能です。点字の基本を知ることで、「触る文字」の世界がぐっと身近になります。
点字の歴史をのぞいてみよう|日本と世界のはじまり
点字の仕組みを考案したのは、フランスのルイ・ブライユです。彼自身が視覚に障害があったことから、「自分の力で本を読みたい」という強い思いで、現在の点字の原型を作り出しました。
この仕組みはやがて世界に広まり、日本には明治時代に伝わりました。日本語に合わせた独自の点字体系をつくったのが、石川倉次です。日本語の特性に合わせた工夫により、1890年に現在の日本点字が完成しました。
今もこの体系は受け継がれ、情報を伝えるための大切な手段として使われています。
点字はどこで見かける?身近な点字の例
実は点字は、私たちの暮らしの中にたくさんあります。
よく見かける場所は次のようなところです👇
- 駅のホームや階段付近
- エレベーターのボタン
- 公共施設の案内板
- シャンプーやリンス、ビールなどの飲料パッケージ
- 図書館の点字図書コーナー
これらは、視覚に障害のある方が安心して移動したり情報を得たりするための大切なサインです。意識して探すと、想像以上に身近なところに点字があることに気づきます。
点字を読むってどんな感じ?
点字は「指先」で読むため、最初はとてもゆっくりです。
読み慣れてくるとスムーズになり、熟練すれば、かなりのスピードで本や新聞も楽しめるようになります。
両手の指を滑らせながら、文字の感覚を指で感じ取ることが基本。慣れてくると1行をすらすら読めるようになり、読むスピードや理解力は練習次第でどんどん伸びていきます✨
点字はどうやって作られるの?
点字を打つには、「点字板」や「点字タイプライター」と呼ばれる専用の道具を使います。
紙に凸状の点を打ち出し、触って読めるようにする仕組みです。特殊な紙を使うため、強く押してもつぶれず、長期間読み取れるのも特徴です。
最近では、パソコンと連携した点字ディスプレイも登場しています。デジタル技術によって点字の活用シーンはさらに広がっており、情報アクセスの幅が増しています。
視覚に障害のある方を支える技術と点字の役割
現代では、点字に加えて音声読み上げソフトや触覚地図、スマートフォンの支援機能など、さまざまな技術が視覚に障害のある方々の暮らしを支えています。
しかし、点字は「自分の手で読む」という文字としての強い意味を持っています。音声では得られない、自立した読み書きの力を支える存在なのです。
テクノロジーと点字の融合は、今後さらに社会をやさしく変えていくでしょう。
点字をちょっと体験してみよう
最近では、一般の人も点字を体験できるイベントやキットが増えています。
1文字でも自分で打ってみると、点字の奥深さや大切さがよくわかります。
学校の授業や図書館、地域のワークショップなどでも体験の機会があります。気軽に触れてみることが、理解への第一歩になります🌿
まとめ|点字を知ることは、世界を広げる一歩
点字は、視覚に障害のある方だけの特別なものではありません。
少しでも知っておくことで、日常の風景が違って見えるようになります。
「見る」ではなく「触れて読む」世界。
その存在を意識するだけで、社会の見え方や関わり方が少しずつ変わっていきます✨
📚 豆知識
- 世界で最初の点字は1820年代に考案されました。
- 日本では1890年に石川倉次らによって日本点字が完成。
- 点字は言語ごとにルールがあり、世界共通ではありません。
- 1月4日は「世界点字デー」でもあります。
🪴 ワンポイントアドバイス
街で点字ブロックや案内板を見かけたら、少し立ち止まって観察してみましょう。
いつも見過ごしている場所に、たくさんの工夫があることに気づけるはずです。
小さな気づきが、やさしい社会への第一歩になります😊

